元信金窓口が見たプレミアム商品券の闇
ごきげんよう!楓華 @Wisfil_Fukaです。
6月末でキャッシュレス還元が終了し、食品以外の実質的消費税10%時代がついにやってきます。
コロナの影響でただでさえ、家計のお財布事情が厳しいなか、唯一の救い?だった2〜5%のキャッシュレス還元が終わっちゃうなんて、泣き面に蜂的なショックさがあります。
しかし、各市町村ごとでは地域振興券として、1万円で1万3千円分の金券として、その市区町村にある中小の商店でのみ使える商品券の発売の開始を決定したり、検討したりしています。
コロナと本格的消費税10%時代突入のダブルパンチの中では、とても有り難いので、私の住む市区町村でもやって欲しいものです。
該当の市区町村に在住、在勤、在学の人羨ましぃ〜!!
ただ、私は約8年間信用金庫に勤務し、その多くの時間を窓口係として過ごしていたため、
昨年増税に伴い、一部向けに販売した“プレミアム商品券”が全く、
信金的にも、商店的にも、恐らく市区町村的にも、
プレミアムでないところを見てきたので、
コロナの経済への影響を少しでも緩和すべく発売される、商品券に対して何とも複雑な気持ちを持っています。
そこで、本日はなぜ“プレミアム商品券”が全く“プレミアム”ではないか?について紹介します!!
入庫から辞めるまでの過程については、こちらから!
https://panfoo-8bit.net/why-shinkin/
信金的に“プレミアム”ではない理由
まず、お客様が使用した商品券は、小売店の方がまとめて銀行や信金などの金融機関の窓口に持ち込むと、
1営業日後に現金扱いでその商店の口座に入金されます。
(持ち込んだ日は、扱いとしては仮入金のような感じで、実際入金した額を入出金などして使えるようになるのは、現金化される翌営業日のお昼頃になります。)
そして商品券自体は、金融機関の本部やセンターを通して発行した市区町村に送られ、最終的に金融機関が商品券として入金した額が市区町村から振替られるという流れで処理されます。
今回の市区町村が販売する商品券は、恐らく地域振興の意味合いで販売されると思うので、大手スーパーさんなどではコロナ商品券は恐らく使えないとは思います。
しかし、前回のプレミアム商品券は、
西◯や、ラ◯フ、オリ◯ピック、い◯げや、など大手のスーパーさんでも使用することが出来ました。
そのため、1日あたりの来店客数が絶対的に多い、大手スーパーさんが金融機関に持ち込む、商品券の枚数は1日500枚を越すことは容易に予想出来ます。
(現に、某区で定期的に配布している商品券を毎日数百枚持ってくるスーパーさんがいて大変でした。)
たくさんの紙幣でしたら、専用の機械で勝手に数えてくれますので、それほど大変ではありませんが、
商品券を数える機械など存在しないので、手で数えるしかありません。
しかも、市区町村によっては何故か通常のサイズの半分の大きさの商品券もあるので小さな商品券を数えるのは至難の技。
そして、1人が1度数えただけでは信用できないので、“再鑑”と言って他の人が再度数え直し、顧客が記入した枚数と1人目が数えた枚数が合致しているのかを確認します。
更に、市区町村によっては、
使用済商品券というシルシのために商品券の一部を切り取る必要があったり、
商品券裏に持ち込んだ商店の名前の記入が必須だったり、
受入金融機関の出納印が必要だったり、します。
ただでさえ、大手スーパーさんが持って来られる数百枚の商品券を数えるだけでも大変なのに、
出納印を全てに“キレイ”に(←ここポイント)押したり、
裏面の商店名が漏れてないかチェックしたり、
使用済みで切り取りがされているか見たり、
ハッキリ言って、時間はかかるし、手間もかかるし、ただただ大変なだけです。
しかも、頑張って入金し1営業日後に現金化されると、出金されるのがオチだし、
だいたいにおいて大手スーパーさんが信金で融資を受けることなどないので、頑張ったとて未来の利益も見込めません。
つまり、プレミアム商品券は、
今どこの金融機関も人員を削減し、ギリギリで窓口営業を行なっている中、
数百枚の商品券を受け入れることにより、商品券数えや出納版押しなどの処理に少ない人員と時間を裂くにも関わらず、
(それにより、他のお客様の待ち時間も長くなり怒られるリスクがあるにも関わらず、)
金融機関(信金)としては、一円の利益にもならないのです。
全くハッピーではないし、全く“プレミアム”ではない、
ただの面倒かつ、受入たくない厄介な存在なのです。
商店的に“プレミアム”ではない理由
これは2つ理由があります。
まず1つ目は、あくまで私の予想でしかありませんが、金融機関同様、スーパーで顧客から受け入れた商品券は、まとめられた後、誰かの手によって1枚1枚数えなくてはいけません。
これは、かなりの手間になると思いますし、当然違算も少なからず出てくるであろうと思います。
現に、大手スーパーの方が持って来た商品券の数が合わないことは幾度となくあり、多い時はお返しするだけなので良いのですが、
少ない時は、トラブル(絶対500枚あった!そっちで1枚無くしたんでしょ?というような…)に発展することもあるので、信金的にはそこもちょっと面倒でした。
2つ目は、1章の信金的に〜と重複しますが、金融機関にとって商品券の受け入れは大変なだけで利益に繋がらない、厄介な業務です。
そのため、昨年の10月、増税に伴って発行されたプレミアム商品券の時は、私のいた信用金庫では、
『○月○日現在(商品券発売が決まった日)口座がある小売店のみ商品券を受入することとする。』
と本部で取り決め、現金化目的での新規の口座開設及び、未取引の商店の商品券受け入れをしない方針を決めました。
そして、これは私のいた信金のみならず、大手銀行、地銀、近隣の信金も足並み揃えて同じかもしくは、もっと厳しい方針を打ち出したのです。
そのため、比較的最近新店舗が出来たばかりのスーパー、近隣金融機関と取引を一切していなかったスーパーは、
顧客が商品券を使うにもかかわらず、それを入金し現金化するための口座がないため、大変困っていらっしゃいました。
困っている姿を見ると、私も辛うじて人の心を持ってはいるので気の毒に思いましたが、
安易に新規口座作ることにして、毎日数百枚の商品券を持って来られ、時間をかけ1枚1枚数え、処理し…をするのは御免ですし、本部が決めたことなので、
心の中でそっと「解決策が見つかりますように」と祈ってました。
(あと、法人や大手スーパーの支店などの口座開設はかなり煩雑で、そもそもマネロンの関係もあり作りにくいのもあり、新規で近隣の大手スーパさんの口座開設に応じなかったのもあります。)
つまり、スーパーなど日々たくさんの商品券を受け入れる商店目線で見ると、
プレミアム商品券は、数えるのが大変な上に、
入金できる金融機関も見つからない。
けれど、顧客はどんどん使ってくる…。
という全く“プレミアム”でない存在と言えるのです。
※これはあくまで、大手スーパーさんのことですので、1店舗のみの個人商店さんや個人事業主さんは、商品券入金・現金化目的での口座開設に応じてはいたと記憶しています。
市区町村的に“プレミアム”でない理由
これは、ずる賢いな。と思ったことですが、
本来ならば、昨年発売された“プレミアム商品券”は低所得者層や年金受給者など、増税に伴い困窮する可能性のある方向けに販売し、
なおかつ、増税により地域経済が収縮しないように。
というような意味合いで発売されたと記憶しています。
しかし、個人事業主や個人商店を営む方の中では、
自分で買って来た商品券1万円で1万2千円分を1枚も使わず、
自分の商店で顧客が使用したように見せかけ、自分の口座に商品券を入金し、1営業日後に現金化されると即出金する。
ということをする方が何名もいらっしゃいました。
市区町村としては、
生活の足しにして欲しい。
確実に使って欲しい。
地元経済を少しでも潤して欲しい。
というような気持ちで販売したのだと思いますが、個人商店を営む自分の口座に入金し、現金に変え、他の市区町村などで使ってしまったり、運転資金に回すようでは、
何のための“プレミアム商品券”?となり本来の目的から大きく脱した使われ方になっています。
市区町村の方々や、そもそも発案した国はその事実を知った上で、容認したうえで、発行しているのならば良いのですが、
窓口担当としては、なんともモヤモヤし微妙な気持ちになりつつも、「え、おかしくないですか?」なんて言うことも出来ず、ただ受け入れるしかありませんでした。
おわりに
1万円で1万2千円分の商品券が買えるなんてとてもお得で、手を出したくなりますが、
その裏では、商品券の存在のせいで、
手をカサカサにしながら、時間をかけ1枚1枚数え、処理している人がいること、
そのせいで、余計に窓口待ち時間が長くなり迷惑を被る人がいることを、
このブログを通して知り、頭の片隅に入れ、労って頂けたら幸いです。
そして、商品券以外のもっと有効な方法で地域経済が潤う方法があればな。なんてことも思ったりもします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございまいた。
それでは!ごきげんよう。
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