映画『くちびるに歌を』感想

ごきげんよう!楓華 @Wisfil_Fukaです。

ここ数日、低気圧のせいで体調を崩してしまい、1日中ゴロゴロする生活をしていました。

体はダルイのに、眠気はない…そんな厄介な状況の時は、ぼんやりと宝塚を見たり、アマプラで映画を見たりして過ごしているのですが、

昨日アマゾンプライムで見た『くちびるに歌を』という数年前の邦画に大変感動し、号泣してしまったので、

今回は、その感想を興奮冷めやらぬまま紹介しようと思います!

ストーリー

舞台は、五島列島にある中学校。

産休に入る松山ハルコ(木村文乃)の代わりに音楽の臨時教師としてやってきたのが、主人公の音大のピアノ科卒で、自身もこの中学の卒業生である柏木ユリ(新垣結衣)。

ユリは、とにかくやる気がなくて冷たく、ハルコから無理矢理押し付けられた、合唱部の顧問も「ただ見るだけ。」と言う約束通り、本当にただそこに座り、見ているだけ。

これに反発したのが、合唱部の部長のナズナ。

しかも、美人教師ユリ目的で男子部員まで増え、

「男子は煩いし、汚いし、臭い!のに合唱部に入るなんて!」

とナズナの不満は募るばかり。

 

そんなある日、Nコン(NHKコンクール)の課題曲『拝啓、15の君へ』の歌詞を理解するため…とユリから合唱部のメンバーに、“15年後の自分への手紙”を書くよう課題が出される。

ナズナはじめ、合唱部のメンバーは自分への手紙を書き提出しなかった。

しかし、ただ1人サトルだけは手紙を書き、ユリに提出をしたのだった。

サトルは、友達がいない1人ぼっちの少年。学校後は、自閉症の兄を職場まで迎えに行き、一緒に帰ることを親から決められている。(そのため、父親から部活をすることを禁じられていたが、母親が容認してくれた。)

彼は、15年後の作文に、

『15年後の僕は、兄ちゃんと一緒にいますか?きっといるよね?僕は兄ちゃんがいたから、この世に生まれて来れた。だから兄ちゃんに感謝している。でも、時々兄ちゃんがいなければ…と思ってしまうこともある。』と記した。

ユリは、少しずつこの作文を書いたサトルの苦しみや、

垣間見えたことにより、知っていった部長ナズナの悩み、

そして自身の恋人を亡くした過去やそのことによりピアノが弾けなくなったトラウマを重ね、

合唱部のNコンに向けた練習へ力を注いでいくようになる。

 

そして、歌の力、中学生のピュアな心、発言で

ユリやナズナ、サトル、1人1人が持っている、悩みや過去、トラウマなどを1人1人が最後には、少しだけ乗り越えていく。

そんなお話でした。

感想

素朴な歌声

おそらく、この映画は吹き替えなしで、実際の出演者が歌っているので、

上手すぎず、中学生らしい素直で真白な歌声、表現力で『拝啓〜十五の君へ〜』を一生懸命歌っているので、グッときました。

子供から大人への過渡期という多感な時期だから出せる素直な歌声、表現力は、

プロの大人や、大人に指導されすぎている子どもには出せない良さがあるなーと思いました。

でもまぁ正直言って、Nコンで入賞出来るほどの出来ではなかったけれど、

恐らく金賞を獲ったぽかった(盾をもっていたので)ので、そこは物語だなーと感じました。

『拝啓〜十五の君へ〜』

私は過去にNコンに出場経験があるけれど、

『拝啓〜十五の君へ〜』が課題曲の年には、私はとっくに15歳も過ぎた頃でした。

そのため、中学時代、自分では抱えきれない悩みがあるけれど、友達にも親にも先生にも話せない。でも苦しい。どうすれば?

と悩み苦しんでいた自分と重ね、

そうか、未来の自分に宛てて手紙を書けばよかったのか。

もっと早くこの曲に出会いたかった。

この曲が課題曲の時にNコンに出たかった!

と思ったのを覚えている、私にとってちょっと思い出の曲です。

 

この作品で印象的だったのが、悩んでいるのが中学生だけではなく顧問の柏木も大きなトラウマ、不安を抱えていることです。

中学生と大人、

今の僕と未来の僕、

サトルやナズナと柏木、

という2つの異なる場所にいる、悩める人物が、歌の歌詞のように、お互いの存在によって悩みや不安を乗り越えていく、

柏木にとっては、サトルやナズナはかつての自分で、教えることも多いけれど、逆に“過去”として学び救われることもある、

一方、サトルやナズナにとっての柏木は、先生でもあり、

“大人の僕も傷ついて眠れない夜もあるけど、苦くて甘い今を生きている”

未来の自分の象徴である。

その対比がすごく上手くて、中学生という半分子どもだから悩みがないわけでも、

30歳という中学生の倍の年齢生きているからと言って、悩みも迷いもなく生きているわけでもなく、

それぞれがそれぞれ、迷い苦しみながらも前を向き歩いていくことが描かれていて、

ちょっとしたドキュメンタリーのようでした。

(まぁこの作品自体が、Nコンのドキュメンタリーをもとに作られているみたいなので、当たり前っちゃ当たり前ですが…笑)

ナズナとサトル

ナズナ(恒松祐里)は、母親を亡くし父親にも捨てられ祖父母と暮らす、正義感の強い、男子が大嫌いな女子。

サトル(下田翔太)は、自閉症の兄の面倒を見るためにこの世に生を受け、でもそのことに負い目を感じ、一人ぼっちの少年。

だけれど、ひょんなことで合唱部に入部することになり、“友達”ができた素朴な少年。

 

この2人、特に、サトル役の下田翔太くんの演技が良かった!

初めて“仲間”と言って貰った時の恥ずかしそうだけど嬉しそうな顔。

お兄ちゃんを見つめる優しいけれど、複雑そうな顔。

合唱をする時の、晴れ晴れとした顔、

親に気を使いオドオドする顔。

すごーく頼りなくて、背が低くて、声も高くて、いかにも“ぼっち”なんだけれど、なんとなく放って置けない雰囲気で、

少しずつ、自分の悩み、兄の存在を乗り越えて行く様が上手だったー!

最近はあまり活動してないのが残念です…。

 

ナズナもまた、父親に捨てられたことへの悲しみと、

自分がいなければ母親は死ぬこともなかった、幸せだったかも。と思い込みによって、

自分の存在に負い目を感じている少女。

恒松さんの顔はとにかく綺麗!!可愛い!

けれど、どこか素朴で、無邪気な顔と悩む顔、怒った顔の機微が上手くて、

まんま15歳の田舎の中学生のようで、引き込まれました。

結局お父さんに3回捨てられることになったけれど、サトルのお兄さんが覚えていた、ナズナのお母さんの言葉のお陰で、

少しだけ、苦しみを乗り越えられ、笑顔を見せ、歌うシーンは泣けた。

『マイバラード』

合唱曲として有名すぎるくらいに有名な曲。

私自身も、中学時代クラスごとの合唱コンクールで歌った曲でした。

この曲は、作中に2度登場しました。

1度目は、合唱部勧誘のために、

「あれ、するしかないんじゃない?」とフラッシュモブ的に下校時間に、靴箱近くで歌うシーン。

 

そして、2度目はサトルの兄が自閉症ゆえに、Nコンの会場ロビーまでしか入れなかったこと、父親によって中に入れて貰えなかったことを知り、

「それ勿体ないよ!あれ、するしかないんじゃない?」

とこれまた、フラッシュモブ的に歌い、

そのうち、歌の輪が広がりロビーにいる他の学校の生徒もサトルの兄とその両親を囲み歌い出したシーンです。

中学時代は、あまり好きではなかった曲だったけれど、

“みんなで歌おう。心を一つにして。悲しい時も、辛い時も”

という歌詞が、この作品の中学生、そしてユリが歌によって救われたことを語っているようだったし、

サトルの兄という父親から疎まれ、そしてサトルからも少しすこーしだけ、面倒だと思われている存在のために皆で歌うというシーンが、ベタだけれど、すごく心温まって、

15年の時を経て、この曲のことがすごく好きになりました。

でも、同時に合唱コンクールで言うこと聞いてくれないクラスメイトにイラッとしたことも思い出したけれどもね笑。

おわりに

中学生の合唱部の話、Nコンの話で、

舞台も五島列島という素朴で美しい景色に包まれた中学なので、

ちょっと遠い青春を思い出し、懐かしくなれる作品でした。

しかし、懐かしい半面、

“一つしかない、この胸が何度もバラバラに割れて苦しい中で今を生きている”

“負けそうで、泣きそうで消えてしまいそうな僕は、誰の言葉を信じ歩けば良いの?”

そんな漠然とした、誰にも話せない悩みを抱えていた、中学時代のちょうど倍の時を生きた今だからこそ、

中学時代を振り返り、苦しかったな。迷ってな。なんて思いだしながら、当時の自分から学ぶべきことは学び、

当時の自分に、そっと、

“いつの時代も悲しみを避けては通れないけれど、笑顔を見せて今を生きて”行こうね!

と語りかけたくなる、

今の自分も、過去の15歳の時の自分も救われてしまうような、温かく、前を向こう!と思える良い作品でした。

 

この先たくさん苦しいことがことがあるでしょう。

だけれど、くちびるに歌をもて。

私たちは、どんな時も1人じゃない。

ドードー前進前進!

あんたも、おってくれて良かったとよ。

 

久々に邦画を見て、ここまでボロボロに泣いたかも!

15歳だったことのある、すべての大人に見てほしい作品です。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございまいた。

それでは!ごきげんよう。

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