ごきげんよう!楓華 @Wisfil_Fukaです。
先日JALの国際線に搭乗した際に、日本では未公開(3月8日公開予定)の、
『ジュディ 虹の彼方に』を機内にて鑑賞しました。
主演は、『ブリジットジョーンズの日記』や『シカゴ』でお馴染みの、
“レネー・ゼルウィガー”。
決して美人ではないですが、
カメレオンの如く、役ごとに雰囲気を変えることの出来る素晴らしい演技力の持ち主のレネー。
私結構好きなんですよね。
しばらくの間、休養をとっていたので久々の彼女の新作。
しかも、アカデミー賞主演女優賞を獲り、完全なカムバックを果たした作品『ジュディ 虹の彼方に』。
この物語の主人公は、実在の人物の“ジュディ・ガーランド”。
『オズの魔法使い』で主役“ドロシー”を演じた子役出身の女優さんです。
私は、彼女のことを全く知りませんでしたが、オズの魔法使いを見たことはあったので、どんな半生なんだろう?
そんな興味もあり見てみました。
今回は、私になりに『ジュディ 虹の彼方に』の感想を書きたいと思います。
※ネタバレが一部含まれていますのでご注意ください。
簡単なあらすじ
主人公は、映画『オズの魔法使い』でドロシーを演じた“ジュディ・ガーランド”。
『オズの魔法使い』の撮影中に大人達から様々な要求をされ、諭される少女時代と、
子供2人を抱えながら、ステージ活動を行う40代ぐらいのジュディが交差して描かれています。
少女時代には、
ドロシーが途中で太ったら変でしょ?と言われハンバーガーを食べることを禁じられたり、
労働契約を超えて、1日17時間以上撮影をさせられたり、
「君は選ばれた人。普通に子供を産み、パートをするような普通の女性になりたいの?」
と配給会社のお偉いさん問われ、今の生活、子役を続けるように諭されたり、(胸をソフトに触られたり)
太りすぎているから。と覚醒剤を飲まされたり、
それにより眠れない!と訴えると睡眠薬を飲まされたり、
寝るのも撮影所の片隅だったり、
となかなかハードな少女時代。
幾度と反発するも、大人から怒られ“ジュディ”という像を押し付けられる少女時代。
一方40代ぐらいのジュディは、借金を抱え、離婚をして2人の子供を抱えながら、その2人の子供とステージに上がり、旅をしながら生活をする女性。
子供のことを心から愛し、大切にしており、子供もジュディのことが大好き。
でも、“家”がなくホテルを転々としているため、その事を元夫から責められ、
生活を安定させ、“家”を持てるようになるべきだ。
子供に平安を与えるべき。と言われる。
借金もあったので、その返済と子どもの“平和な家”を得るべく、金儲けのために、子どもを元夫の家に預けて、ショーをすべく単身ロンドンへ。
ジュディの人気は、確固たるものであったため、ショーは連日盛況。
ただ、ジュディは睡眠障害とそれを落ち着けるために、いつも薬に頼っているため、心はいつも不安定。
そんなある日、パーティでミッキーという男性と出会う。
ミッキーは、ショーよりも金になる話を取り付けてくれたり、精神的にも支えてくれたりする年下のイケメン。
ジュディとミッキーは惹かれあい、やがて再婚することに。
しかし、幸せな生活は続かず、言い争いがきっかけでミッキーは出て行ってしまう。
さらに、大事な子どもたちからも、
「ママは恋しいけれど、パパの家で今のまま生活していたい。」と言われ、ジュディはどん底に。
大きな悲しみに暮れたジュディは、
さらに酒と薬に溺れ、体調不良・泥酔のままステージに上がり、
大きなブーイングを受け、興行元から首切りに合う。
ショーをしていた、ロンドンから去ることを決め、
担当のマネージャーや、バンドマスターにも別れを告げたものの、
やはり自分には、ステージしかない。
と思い直し、ジュディに代わってステージのメインを務める人に直接ステージ際で交渉し、
彼女は自分にとっても最後のショーをやり直す。
(クビになるきっかけになったステージを、最後にしたくないので、勝手にやり直した笑)
ジュディの歌声は素晴らしく、会場は大盛り上がり。
そして、ジュディの象徴であり、代表作でもある、
『オズの魔法使い』の“OVER THE RAINBOW”
を歌い、最後のステージを締めくくる。
感想
少女時代のジュディは、
大人の求める“ジュディ”を押し付けられ、
彼女の本当の姿、思い、考えは全く受け入れられない。
傀儡として大人に動かされ、支配され、そしてクスリで落ち着けさせられていました。
無邪気な雰囲気を持っている少女にも関わらず、ちょっとした要望も受け入れられず、何か言うと窘められ、叱られる。
正直、かなり辛かったです。
画面に映る“少女”はこのように大人の思うままに、作り上げられ、
本来持っている“少女らしさ”や“ジュディらしさ”は取り上げられ押し潰され抑制させられている。
「普通の女性になりたければ、帰ればいい。でも、君は選ばれた少女なんだよ。」
こんな風に、映画会社のお偉いさんはジュディに優しく言い、彼女に選択させてあげているように振る舞っているけれど、
選択肢は結局1つしかなく、映画の撮影所にいるしかない。
ジュディの半生を簡単に、見た後にWikipediaで読みましたが、何度も離婚したり、堕胎も経験。
“自由奔放”と言われた人生だったけれど、それは幼いころに抑制され、ワガママを聞いて貰えなかったから、その反動なんだと思います。
また、クスリ漬けにさせられ自分の心に自制をかけることが出来ずワガママに振る舞うことしか出来なかったんだと思います。
大人の思うままに動かないと、わがままだの奔放だの罵り馬鹿にする、
大人(母親)や業界は最低。
ジュディを、使い捨ての商品としか思っていないだと感じて、
少女時代の回想シーンは、とにかく辛かった。
一方、レネーが演じた、40代ぐらいのジュディは、
疲れ果てた、落ちぶれた昔のスター。という感じ。
(レネー自体が老けていて、シワシワな顔なのもあるかも笑)
ただ、歌声は素晴らしく「これ吹き替え?」と思ってしまうほどの美声でセクシー。
子どもを見つめる、優しい母の眼差し。
ミッキーを見つめる、恋する女の眼差し。
マネージャーやバンドマスターに対する、ワガママで「私本当はやりたくないのよ。」と言いたいような横暴でやる気のない態度。
少女時代から続く睡眠障害で苦しみ、疲弊する姿。
ステージに立ち堂々と歌い、ショーを成功させる自信に満ちた姿。
けれど、そのショーの前には不安で折れそうになっている弱い子供のような姿。
ひと場面、ひと場面ごとにレネーの表情、演技がパッパッと変わり、
ジュディの色々な側面や苦悩、性格が描かれていて、
正直、飛行機の中で超眠かったのですが、眠気も吹っ飛ぶほどに夢中になってしまいました。
そして、映画の宣伝文句にも使われている、
“ラスト7分”の魂のこもった歌であり演技は圧巻!の一言でした。
特に、1番最後の“OVER THE RAINBOW”
の歌唱途中で倒れて歌えなくなり、無音になった後に、
友達となったジュディのファンであるゲイカップルが、
ジュディの代わりに続きを歌い、
それに釣られてほかの客も歌い出し、
倒れたジュディがその歌声に応えるように、顔を上げ立ち上がるシーンは、ツーと自然に涙があふれました。
“虹の彼方どこか遠く
空が とても青くて
そこでは
どんな大きな夢も
必ず叶うらしい”
これは、字幕に出ていた歌詞の一部です。
この歌詞にある“虹の彼方”
“青い空”
“どんな夢も必ず叶う世界”
これらこそ、彼女が今までの人生で苦悩しながらも追い求め、
探して来たものだと思います。
そして、この瞬間にようやく、
“虹の彼方”を越えた、越えられたんだ。
彼女の“ドロシー”から始まった人生(本当はもっと前からはじまっているんですが…)が達成された瞬間でもあるんだ。
と感じ胸がいっぱいになりました。
“OVER THE RAINBOW”と言えば、
アメリカ人が第二の国歌と言うほどに、
今も愛して止まない国民的名曲。
それを歌い、世に広めた張本人であるジュディが、
ずっと“虹の彼方”を探し、追い求めていたなんて、
皮肉なもんだな。苦しかっただろうな。辛かっただろうな。
どんな気持ちで生きて来たんだろう。と思い悲しくもなりました。
レネーの演技は、相変わらず力強くも弱く美しく、
ジュディの生き様は、切なくも苦しくも綺麗でした。
見終わった後に、なんとも言えない重さが残る作品でもありましたが、
私はとても良い作品。好きだな。と思いました。
ちなみに、機内では他に『パラサイト』も見たのですが、
うーん。私は、『ジュディ 虹の彼方に』の方をオススメします!笑
おわりに
正直、レネーは演技力がある素晴らしい女優さんですが、
年齢には勝てないのか、なかなか見た目はアレでした。
ただ、やはりアカデミー賞主演女優賞を受賞しただけある、
魂のこもった、えげつない程に素晴らしい演技でした。
私は、この作品の中で特に印象に残った人物に、
ジュディのファンで、出待ちまでしてくれていたゲイカップルがいます。
彼らの家で、ジュディはゲイカップルと作った下手ぴな卵料理を食べ、そして語らいます。
彼らは、ずっとジュディのファンであったものの、十数年前のジュディのコンサートの時には、
カップルの片方は服役中だったため行けなかった。
理由は、その頃は同性愛は犯罪だったから。でも、数年後に合法になり釈放され今は一緒に暮らせている。
その話をしながら、このカップルの部屋に飾られた2ショット写真が写されて、彼らの今までの歩みや絆が感じられました。
ただのファンだけど、彼らはきっとジュディの心の支えになっていき、
また、彼らにとってもジュディは心の支えであったし、これからもそうであり続けるんだろうな。と感じられました。
ちなみに、後で分かったことですが、
LGBTの象徴であるレインボーの旗は、
ジュディが同性愛に理解を示していた数少ない有名人であったため、(ジュディとその父親もそうだったから?)
ジュディ=ドロシー=OVER THE RAINBOW
ということで、虹色の旗がその象徴となったそうです。
作品の最後で歌われた、この曲は、ジュディが虹の彼方に行けただけでなく、
LGBTの人々もまた、ジュディの理解があったから、虹の彼方に行けた。
ということを表しているのかな?
とも思いました。
レネーの演技を見るもよし、
ジュディの半生を知るもよし、
そして、虹の彼方を見るもよし、
個人的には、超オススメ映画です!!
最後まで、読んでいただきありがとうございました。
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