ONCE UPON A TIME IN AMERICA感想

2020-05-06

ごきげんよう!楓華 @Wisfil_Fukaです。

今更感半端ないですが、今年上演された雪組公演“ワンスアポンアタイムインアメリカ”の感想です。

コロナさんによる公演中止により、生観劇は1度も叶わなかった私にとって悔しすぎる作品。

しかし、DVDを購入し複数回見ましたので、映像上での感想を軽く書かせて頂きます!!

(※劇場では集中力を持って観劇出来るのですが、映像になると気が散ったり、集中出来なかったり、で薄い理解、薄い解釈しか出来てないので、悪しからず…。)

ストーリーの感想

NYには4度ほど行ったことがあるのですが、NYの歴史や過去については知識がなかったので、

NYに、1900年代に東欧より移住して来たユダヤ人が多く住んでいたこと、(ナチスの迫害から逃れてWW2中に移住して来ていたことは、耳にしたことがあった。)

今は、“ヴィレッジ”と呼ばれていたり、チャイナタウンがある付近(RENTの舞台の地区)が、かつては“ローワーイーストサイド”と呼ばれユダヤ人居住地だったこと、(今は多くのユダヤ人はブルックリンの一角に住んでいるので。)

そもそもユダヤ人=勤勉で、賢く、銀行系などお金を扱う仕事をしている“善人”というイメージがあったので、“ユダヤ系ギャング”と言われ悪行に手を染めていたこと、

などなど知らないことだらけで、まずそこから驚きでした!

(セントラルパークで1人ピクニックする時間があったのだから、NYにあるユダヤ人記念館行けば良かった。と後悔。)

 

時代的には、『グレイト・ギャッツビー』と被っていたので、

禁酒法や、栄えるマンハッタンの中心(富)とブルーカラー層や移民で浮かび上がれない人々(貧困)の二極化、コントラスト、

そして、時代的にまだ安定していないが故に、アウトローが蔓延る世の中感が面白くて、この時代のアメリカ、NYは魅力的だな。と再認識!

さらに、その時代に、アメリカンドリームを夢見て東欧から移住してきたユダヤ人少年が、時代を味方に陽が当たらない道を歩み、マンハッタンのテッペン、“皇帝”を目指し、のし上がろうと葛藤し敗れていく様子、

ユダヤ人の少女が、歌、ダンスを極め、力をつけて、順当にブロードウェイから映像の世界へと羽ばたくも、“皇后”にはなれなかった様子、

悪事に手に染めることなく、レストランを親より引き継ぎ、安定的に経営し平凡な“成功”を治めた少年の様子。

WW1直後、世界恐慌や禁酒法の最中、WW前という激動の時代に、

それぞれの生き方で、

それぞれが歩み住む場所(陽の当たる場所とそうではない場所)で、

必死に生き、その場所でそれぞれ苦悩しながら、成功しながら、失敗しながら、歩むそれぞれの人生があって、

そのコントラストも面白かったです。

ただ、結局ヌードルスもデボラもマックスも、大きなものを一度は手に出来そうになりながらも、

最後には“成功”を手に出来ず、“皇帝”にも“皇后”にもなることは出来ず、“葛藤と焦燥”に殺されていき、互い思いながらも結ばれることも叶わなかった所も切なくも苦しかった。

特に、デボラは陽の当たる場所を自分の力で懸命に生きて、のし上がって来たにも関わらず、ハリウッドというコネと不条理と理不尽が蔓延る世界で、良いように使い捨てられていったのが悲しかった。

でも、それが当時のユダヤ人を取り巻く環境だったのかな。

 

でも!でも!!私は、

“終わり良ければ全て良し!”だったり、

“全てがマルッと収まってハッピーエンド”よりも、

『虚しさ』『苦しみ』という空白を残し、少しモヤモヤして、観客に感想や解釈は委ねられている作品、

見る度に新しい“気づき”がある作品の方が好みだし、

実力のある雪組さんだからこそ、含みを持たせたこんな作品を上演できるのだと思いました。

今後も繰り返し観て、理解と解釈を深めていきたいと思います!

キャスト別感想

望海風斗

まず、少年期、青年期、中年期で、声色も顔付きも全く違っていて凄い演技力だな。と思いました。

少年期は、ちょっと情けない表情でデボラを見つめたり、幼さの残る顔付きで悪事を働き、

青年期は、さらなる悪事に手を染めていく精悍な顔つきと、デボラを思う強すぎる眼差し、

中年期は、様々な経験をして来たであろうことを物語るちょっと疲れた顔付きと、でも“やり手感”を感じる立ち居振る舞い、

1つの舞台でこれほどコロコロと演じる年代を変えること出来、しかもそれが板に付いているのは、さすがトップさん!

また、全くブレない安定感ある歌唱力にも映像とはいえ圧倒されました。

特に、『真夜中にひとり』の、

「今お前は輝ける星」や「デボラお前は女神」と歌う時の、憧れに満ちた表情、恋い焦がれる感情、自分と差が付いてしまった悲しを含んだ声と、

「俺は道端に転がる石」「ヌードルスお前は悪魔」と歌うときの、焦燥感に満ちた表情、自分の情けなさ、不甲斐なさに対する悔しさと怒りを含んだ声色を、

瞬時に切り替えているの歌い方、表情が凄まじく、涙が出ました。

だいもんさん、ほんと素敵…。

真彩希帆

きぃちゃんも、だいもんさんと同様、いやそれ以上に表情や仕草、さらにはオーラまで変えていて、超演技派!!

夢見る少女時代は、幼さとあどけなさが残る可愛いらしい顔で、淡い恋心を持ちながら、いつか皇后になる!そのために努力をする!という強い気持ちと行動力があってとても魅力的だったし、

ブロードウェイのスター、そしてハリウッドへと上っていく過程では、凛とした姿勢と、強い眼差し、そして“女王”に相応しい煌びやかなオーラまで纏っていて、圧巻の演技でした。

また、ヌードルスからの真っ直ぐすぎる、熱すぎる愛(薔薇部屋とか)を受け取り、

昔の約束通り本当に迎えに来てくれた嬉しさ、初恋が実った嬉しさと、

その一方、もう自分はもっと高いところを目指し歩き出しているので初恋に囚われている場合ではないと感じている辛さ、

ヌードルスが、マックスたちの仲間に加わり、悪事で収入を得ていることへの戸惑いと軽い軽蔑、

そして自分へのもてなしは、その悪事から生まれたお金だと分かるが故の怖さ、

でも、凛とした女優らしさはあくまでも壊さない立ち居振る舞い、

が混ざった表情や仕草などは細かさと大胆さがあって、とてもカッコよかったです。

もちろん、美しい歌声も健在!

いつ聴いてもきいちゃんの歌声は魅力いっぱいで、本当に好きな声だなー。とウットリしちゃいました。

退団してほしくなーい!!

彩風咲奈

咲ちゃんは、私のなかで名2番手!名友達!ってイメージだったのですが、今回の役はなんか読めなかった。

いつも寂しそうにも見える、凄く冷酷な目で、考えていることも性格も全く読めないし、キャロルのことを本当に好きなのかも見えなかった。

すぐに、キャロルに暴力を振るうし、カッとなるけれど、

それでいて、キャロル曰く「自分が怖い」って泣いたり、ブルブル震えたりするそうなので、

舞台上(皆がいる前では)毅然として強い男、怖い男を演じているけれど、

マックスという男は、実は弱くて、折れそうな弱さを持った男で、キャロルに守られているような男なのかな?

という想像しかできないような、ミステリアスさでした。

ハバナのシーンでは、少し楽しそうに歌って踊っていたのは、ギャップ萌えでしたね。はい。笑。

朝美絢

私は、あまり男役さんの女役が得意ではないのですが、さすが美形のあーさ。とても綺麗で美しかったです。

キャロルは、男役のあーさだから出せる、ダイナミックさと、強さと、美しさがあり、男を寄せ付けない輝きがある女性!という第一印象でした。

娘役さんだと、なかなか出さないであろう低めで少しドスの効いたような歌声、話し方がとても魅力的で、“魔女”感あって良かったです。

ただ、意外と見た目が女性らしく、サムを足掛かり?にハリウッドスターに登ろうとしたデボラよりも、

実は、キャロルの方が“自立した女性”“強い女性”ではなく、

粘着質で、めちゃくちゃマックス中毒で、見た目によらず恋愛体質で依存体質で、1人では生きていけない、自立できていない女性…というギャップが重苦しくも面白かった。

でも、こんな感じの、凄く強気な感じで男勝りだけれど、めちゃくちゃ依存気質で重くなりがちな女の人って、結構現実にいるわー。と妙にリアリティも感じてしまった。

あーさ自体も若干、重めの手紙を書いちゃう女?男?らしいので、彼女の素もちょっと出てる?という素敵な演技でした。

あと、サナトリウムでの生気を失いながらも、かつての美しさを残し、少女のような仕草、物憂げで寂しそうな表情は、マックスを本当に好きで、心配で、ここまで気を病んでしまったのだと、彼女の愛の深さと心の純粋さを感じたし、

同時にマックスの残酷さ(実はまだ生きているから)、と他の人に成り済まし、身を隠しながらもキャロルを近くに置き、密かに見守っている優しさと愛を感じてグッと来ました。

おわりに

この作品は、上演が決まった時からとてもとても楽しみにしていた作品でした。

そのため、あの手この手で相当チケット取得を頑張ったのですが、1枚も取れませんでした涙。

しかし、その後なんとか母の仕事関係の方から1枚頂けることになり、喜んだものの公演中止、

再度チケットを探し譲ってもらえることになったものの、再び公演中止になり、1度も生で見れなかった上に、観劇以前に感情を揺さぶられまくった作品です。

そのため、DVDを見て、

「とても良い作品。良い曲たちだ。雪組生の演技も歌唱力も凄い。やっぱり生で、劇場で見たかった」という悔しい気持ちが更に強まりました。

ただ、こんな時世で、もうどうすることも出来なかったので、悔やんでも、恨んでもしょうがないので、

トップ2人、望海さんときぃちゃんの退団公演が1日も早く上演日が決まり、そして今度こそチケットが取れることを願って、この文を終わりとします。

(ムラのチケット1枚取れているのですが、まぁ当選無効になって流れちゃうんでしょうね。悲しいー。)

最後まで読んでいただきありがとうございました!

雪組との出会いである、『壬生義士伝』、『MR』の感想。

だいきほの退団に対する思いについて。

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それでは!ごきげんよう。

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